不登校の子供からゲームを取り上げてはいけない13つの理由

「うちの子、不登校でゲームばかり…取り上げた方がいいの?」と悩んでいませんか?感情的に制限したくなる一方で、「逆効果になるかも」と不安を感じる親御さんも多いはずです。

この記事では、不登校の子どもからゲームを安易に取り上げてはいけない理由を13項目にわたって丁寧に解説します。子どもの心理的背景や親子関係への影響、避けるべき対応までお伝えしますので参考にして下さい。

目次

「心の逃げ場」になっているため

不登校の子どもにとって、ゲームはただの娯楽ではなく、学校に行けないことで失った「安心」「自由」「達成感」を一時的に取り戻せる心の避難所です。現実では自分を責める声や不安にさらされている中、ゲームはそうした苦しさを一時的に忘れさせてくれます。誰にも否定されず、自分のペースで過ごせる時間は、精神的に非常に重要な支えです。そのため、強制的に取り上げてしまうと、子どもは「もう逃げ場がない」と感じ、より深く心を閉ざしてしまう可能性があります。

自己肯定感を保つ数少ない手段であるため

学校での評価や人間関係で傷ついた子どもは、「自分には価値がない」「どうせ何をしても無理だ」と感じがちです。そんな中で、ゲームの中で敵を倒す、レベルアップする、他者と協力して成功するという体験は、自分の力を認められる貴重な機会になります。これは単なる遊びではなく、自己肯定感を維持するための「実感ある成功体験」です。その数少ない手段を奪ってしまえば、「やっぱり自分には何も残らない」という無力感だけが残り、心の回復を大きく遠ざけてしまいます。

社会的つながりを持てる数少ない場所であるため

オンラインゲームやチャット機能付きのアプリでは、同世代の子や趣味の合う人と交流することができます。不登校で人と会う機会が少ない子にとって、そこは貴重な“社会”であり、“コミュニティ”です。友達に「すごいね!」と認められたり、チームで協力する体験を通して、人間関係の感覚や自信を取り戻している子もいます。ゲームを取り上げてしまえば、その社会的なつながりも一気に断たれ、子どもは孤独感をさらに強めることになります。

現実と断絶するリスクがあるため

ゲームが心の支えである間は、子どもはまだ現実世界とつながっている状態です。しかし、それを一方的に奪ってしまうと、子どもは「もう誰もわかってくれない」「現実に戻る意味がない」と感じ、家庭内でも沈黙・無視・拒絶といった強い断絶反応を示すようになります。こうなると、学校復帰だけでなく、日常生活への参加すら困難になる恐れがあります。ゲームの取り上げが、現実社会との最後の橋を壊してしまうリスクを含んでいることは、見落としてはいけません。

強制的に奪うことで反発・暴力・無気力につながるため

子どもにとって納得のいかない形でゲームを取り上げられたとき、そのストレスは非常に強く、怒りや憎しみ、または完全な無気力という形で現れることがあります。「またか」「どうせ言ってもムダ」と感じた子は、反発を強めて暴言・暴力・破壊行為に走るケースもあり、逆に「何もかもどうでもいい」と無気力になって何も手をつけられなくなることもあります。これは、親にとっても深いショックとなり、家庭内の緊張が一気に高まる大きな引き金になります。

信頼関係を損なうため

ゲームを強引に取り上げた瞬間から、子どもの心には「親は敵だ」「味方じゃなかった」というラベルが貼られてしまいます。これは親子の関係性において深刻なダメージです。信頼関係は、積み重ねた日々の中で育つものですが、崩れるのは一瞬。特に思春期に差しかかる中高生にとって、「自分の気持ちを理解してもらえなかった経験」は、長期間にわたって心に残ります。そしてその後の会話や関わりを、極端に難しくしてしまいます。

家庭内の空気が悪化するため

親は「子どものため」と思って行動しても、子どもが受け取る印象が「監視」「支配」であれば、家庭はストレスの場となります。結果として、お互いの言動に敏感になり、小さなやり取りでも衝突につながってしまいます。「また怒られる」「また無視されるかも」といった恐れが蓄積し、家の中が緊張感に包まれるようになります。これは、子どもにとっても親にとっても非常につらい環境であり、本来「安心できる場所」であるべき家庭の役割が失われてしまいます。

親への怒りや不満が爆発しやすくなるため

ゲームを一方的に取り上げられた子どもは、「自分の楽しみを奪われた」「親は敵だ」と感じるようになります。その怒りは表には出さなくても内面に蓄積され、ある日突然爆発することがあります。小さなことでも感情的にキレたり、手がつけられないほど荒れたりするのは、そのフラストレーションが溜まっていた証拠です。親としては「これまで我慢していたのに、なぜ?」と戸惑うこともありますが、実はその反応は“心の限界”のサインである場合が多いのです。

他の依存行動に移行するリスクがあるため

ゲームという「依存対象」を取り除いたとしても、子どもの心の中にあるストレスや不安が解消されていなければ、今度はスマホ・SNS・動画・食べ物・睡眠など、他のもので埋めようとします。これは根本原因にアプローチできていない証拠です。表面的にはゲーム時間が減っても、実際には生活が改善していない、むしろ別の問題が生まれてしまうという状況になりかねません。対応を間違えると、いたちごっこが始まってしまいます。

親自身の感情で制限してしまう恐れがあるため

子どものゲーム行動に対して、親が感情的に「もう限界!」「私だって我慢してるのに!」と爆発してしまうと、対応はどうしても“感情優先”になります。これは本質的なルールづくりではなく、「その場の怒り」で子どもを支配してしまう行為に近くなります。結果として、子どもは「納得できない」「不公平だ」と感じ、親子の信頼を損ないます。対応する際は、親がまず自分の気持ちを整理し、「冷静に」かつ「目的をもって」関わる姿勢が大切です。

「コントロールされている」という無力感を与えるため

思春期の子どもにとって、自分の行動を自分で選べることは重要な成長課題です。そんな中でゲームを「禁止」や「強制終了」などで取り上げられると、「何をしても親が決める」という無力感を強く感じます。この“無力感”は、やる気の低下、自発性の欠如、自尊心の喪失へとつながり、「どうせ何を言っても無駄」と親との対話すら避けるようになります。これが続くと、自立心の育成が止まり、大人になってからの自己決定力にも影響を及ぼします。

子どもの判断力や自己調整力を育てる機会を奪うため

子どもが「今日はどのくらい遊ぶか」「どこでやめるか」を自分で考え、試行錯誤することは、実はとても大切な成長の機会です。うまくいかない日があっても、「昨日はやりすぎたから今日は減らそう」といった調整力が少しずつ育っていきます。これをすべて親が管理してしまうと、子どもは「考えなくてもいい」「誰かが決めてくれる」と受け身になり、自己管理能力を獲得するチャンスを逃してしまいます。長い目で見れば、これは大きな損失です。

タイミングを誤ると信頼の回復に長期間かかるため

子どもにとってゲームは、単なる遊び以上の意味を持っていることが多いため、それを取り上げるタイミングや方法を間違えると、「裏切られた」「信じていたのに」と深く傷つきます。一度壊れた信頼関係は、すぐには戻りません。「もう話したくない」「もう期待しない」と心を閉ざしてしまえば、その回復には数ヶ月〜年単位の時間がかかることもあります。ゲーム制限を検討する際には、子どもの状態・気持ち・環境を丁寧に見極める必要があります。

まとめ

不登校の子どもがゲームに熱中していると、「このままで大丈夫なのか」と不安になり、つい取り上げたくなるのは自然な親心です。しかし、この記事で紹介した13の理由からも分かるように、ゲームは単なる娯楽ではなく、子どもにとって心の支えや自己表現の手段になっていることが多くあります。

一方的に取り上げれば、信頼関係の崩壊や情緒の悪化を招く恐れもあります。大切なのは、「なぜゲームに依存しているのか」を理解し、子ども自身が自ら向き合えるように環境を整えることです。焦らず、子どものペースを尊重しながら、親としての関わり方を見直すことが、回復と前進への近道となるでしょう。

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